医療政策はどのように決まるのか?

医療政策を決定しているのは誰かというのは、長年日本が抱えてきた問題でもあります。例えば、医療提供体制を決定する政府は、単純にお金を配るだけではありません。

 

巨大な組織として考えてみると、果たして政治家は適切は判断を下せるのか、という問題が浮上します。もちろん、日本は民主主義の国ですから、民意によって選ばれた政治家が最終的な判断を下すべきです。

 

しかし、政府を巨大な組織としてみた場合、いくつかの疑問点が出てきます。一般の民間の組織の場合、社長に相当する人は「たたき上げ」が多いのが一般的です。

 

この場合、社長は組織の構成員のよる民意をある程度代弁しているし、組織が行っている業務の専門性をある程度理解してもします。または、アメリカのように経営の専門的な勉強をした人が社長になることもあります。

 

この場合は、個別の業務についての専門的な知識は乏しくても、経営手法や財務などに詳しかったり、人を動かすリーダーシップにおいて優れているために社長に任命されたとも言えます。

 

これに対して、政治家が医療政策を決定するのは、その資質や能力の点で疑問がないとは言えません。医療についての知識があるのは、まちがいなく医師であり、看護師や薬剤師です。

 

実際、現在の日本の医療政策には、現場の医師も多数関与しています。しかし、医師や看護師として優れていても、あくまでそれは医学や看護学上の知識と現場の経験に過ぎません。

 

しかも、現在の日本では、「医療政策学」という学問が、単一の学問体系として存在していません。したがって医師などの医療関係者が医療政権の決定に携わる場合、まず政治というものを理解し、その動きや政治家として修練を積んだうえで、医療政策を担当すべきであるということになります。

 

例えば、松下政経塾や医療政策を扱うシンクタンクなどでの経験も活かすことができます。この場合には、前述の民間組織における経営者との類推でいえば、現場出身で組織の中で育ったたたき上げ経営者に相当します。

 

一方、政治のプロが医療政策を行うという選択肢も当然あり得ます。この場合には、その政治家は、経営のプロに相当しますので、社長の例えで言えば、アメリカ型の社長になります。

 

日本では従来、官僚主義で医療政策が決定されてきましたし、今後も官僚がかなりの影響力を持つことは間違いありませんが、この場合には、官庁内のたたき上げが事務次官というトップになるという点で、日本型の社長だといえます。しかし、このたたき上げが必ずしも現場を反映したり、舵取りを行ってこなかったというのが、1つの問題だったのです。

 

もちろん誰が政策を決定するにしても問題は残るものです。しかし、政策の根拠は明確である必要があります。そのためいま医療政策学の必要性が増大しているのです。

 

さらに言えば、「医療政策型」の確立と同時に、複雑で重要な医療政策を実行するには、マネジメントが分かり、マネジメントできる政治家や官僚を必要しているのです。